かないくん 谷川俊太郎
なぜ、捉われてしまうんだろうか?
年齢をかなり重ねたせいだと言われてしまえば、それまでだろうけど...。
好む好まざる関係なしに、"死"というものは、わずかながらでも確実に迫りつつあるもの。
それでも、谷川俊太郎のしたためた言葉には温かみがあって...。
きっかけは、1月24日金曜日発売の絵本『かないくん』(谷川俊太郎,・松本大洋 / 東京糸井重里事務所)
を、読み終えたことから。
ある日、友達のかないくんが学校を休んだことから、物語は始まって...。
かないくんは親友でなく、ごく普通の友達。
そして、日常に突然訪れて実感することとなる、初めての“死”。
死ぬって、ただここにいなくなるだけのこと? という素朴な疑問から、あらゆる思いがめぐらされることとなって...。
知るところでは、詩人・谷川俊太郎が一夜で綴り、漫画家・松本大洋が、足かけ2年で描いた絵本とか。
企画監修は糸井重里。
ブックデザインは祖父江慎で、特に、松本大洋の原画の「白」を再現するために、凸版印刷とタッグを組んで試みた、本邦初となる"特殊6色印刷"、素晴らしかった...。
「死は終わりではなく、新しい始まりである」
そのメッセージを伝え際立たせるために、詩が絵本になったかのような透明感あるイメージで表裏一体の生と死を表現。
松本大洋のイラストには、中でも、人物の気持ちが滲み出ているような表情が際立っていて、動画のような深み。
すなわち、悲しさと温かさが入り混じったやさしい絵本。
理解する、というよりも、感じる作品としての、名作なんだろうなあ。
そして、言葉のない、絵だけのページを開いた時の静けさ...。
素晴らしい余韻だった。
まさに、年齢を問わず、時代を問わず、場所を問わず、長く読み続けられてほしい一冊にふさわしい、素晴らしい仕上がり。
2014-02-24 |
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