セラピスト 最相葉月
やはり、ついつい手に取ってしまった。
1998(平成10)年刊行の『絶対音感』がベストセラーとなり、第4回小学館ノンフィクション大賞を受賞。
以後、2007(平成19)年刊行の『星新一 一〇〇一話をつくった人』が、第34回大佛次郎賞、第29回講談社ノンフィクション賞、第28回日本SF大賞、第61回日本推理作家協会賞評論その他の部門、第39回星雲賞ノンフィクション部門、といった相次ぐ受賞とあって、執筆するおもなテーマである、科学技術と人間の関係性、スポーツ、教育、音楽などには、ついつい気になってしまったもの。
今年に入って間もない2014(平成26)年01月31日金曜日、新潮社より最新刊『セラピスト』が発売されたことを知ったのは、つい先日のことで、購入するなり一気に読み上げた。
精神科医・中井久夫氏の「絵画療法」によるカウンセリングを受けるため、著者が世界堂(画材店)へクレヨンを買いに行くところから始まって...。
中井氏の指示に従い、画用紙に絵を描き始めてから、ゆったりと流れる時間に身を任せながら、自分の心に浮かぶ風景、川、丘、家、緑といった色彩を、画用紙に描いていく流れ...。
中井氏の「絵画療法」の一つである、"風景構成法"のカウンセリングか...。
なぜ著者はカウンセリングに執着するのか、といった疑問の答えが、やがて最終章で明らかにされた時の、なんとも言いようのない爽快感へ...。
密室で行われ、守秘義務があり、外からうかがい知れないゆえに、「信頼できるセラピストに出会うまで5年かかる」とも言われる中、これまで守秘義務により明らかにされなかったカウンセリングでのやりとりを著者が"クライエント(相談者)"となって公開する姿勢、クライエントの心の動きのイメージとしての記録。
それが正直な実感といったところかなあ。
"心の治療"といった"大事業(?)"を意識するかのような取り組みでなく、たった一人での無心の状態に気持ちを置いての、ゆったりとした心のスケッチ。
"座禅"の境地に近いかのようかなあ。
あえて、空き時間作って、やってみようかな。
2014-03-15 |
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