風立ちぬ DVD Blu-ray 感想
あの宮崎駿監督によるスタジオジブリ作品であること、女優・瀧本美織がヒロインの声を担当すること、といったミーハー心から気になって...。
実在の人物である堀越二郎をモデルとし、その半生を描いた作品であるとともに、堀辰雄の小説『風立ちぬ』からの着想も盛り込まれていることからも、ますます気になって...。
2013(平成25)年7月20日土曜日、映画『風立ちぬ』公開とともに鑑賞。
擬人化した動物による登場人物の多かった作品とは違って、戦前・戦中・戦後といった時代の流れというもののありのままを実感。
時代の好き嫌いといった感情は抜きにして、半ばドキュメンタリーを観ているかのようだった...。
もちろん、おもな登場人物の、特にヒロイン・菜穂子の繊細な心情の変化の描写には、涙が出そうだった。
擬人化した動物やロボット、超人的な神業を宿す人間を描けるアニメーションだったら、親子向けの鑑賞内容ということもあって、いくらか楽観的に観れそうでも、この作品は違った。
何と言っても生身の人間...。
生身の人間だからこそ、いかに堀越二郎(声:庵野秀明)が、幼少よりの空を羽ばたくことへの憧れから、飛行機の設計技師として夢の実現に邁進しても、時代の流れが許さないゆえに、はかないもの。
何ゆえの理想と現実の落差の大きさなのか、ということを静かに突きつけられたかのような作品だった。
ただ、残念だったことは、邪念・邪推抜きでの鑑賞であっても、日本禁煙学会による喫煙シーンへの批判や、産業経済新聞社の雑誌『正論』による「反日妄想を嗤う」と題した特集記事の掲載で、不毛の論争を巻き起こってしまったことかなあ。
時代の流れに伴うそれぞれの人たちの考えも描かれているゆえ、半ばドキュメンタリーのような作風として鑑賞すればいいのに、なぜ? というのが正直な気持ちだった。
同年9月の宮崎駿監督の長編アニメ製作からの引退発表。
もうすでに肚をくくっていたんだろうなあ。
そして、翌年2014(平成26)年6月18日水曜日、DVD/Blu-ray発売。
絵コンテ(本編映像とのピクチャー・イン・ピクチャー)、アフレコ台本、予告編集、完成報告会見、ひこうき雲 ミュージッククリップ、といった特典映像は、もちろん嬉しかった。
夢追い人の大抵は、悲しいかな不幸な結末を迎えてしまいがち。
ただこの映画の素晴らしい所は、そんなバッドエンドの中にも救いというか、爽やかさを残してあることです。ましてや戦時中となれば、なおさらのこと。
国は滅び飛行機は帰って来ず状況としては最悪。
ただ、"終わった"という救いやさわやかさをいくらか残している点で、どこか朗らかな雰囲気が漂い、まさしく風の凪いだ後のような心地だった。
毎年8月15日の"終戦の日"が近づくことに、鑑賞してみようかなあ。㬠
2014-06-28 |
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