花燃ゆ あらすじ ネタバレ 第9回
3月1日日曜日に放送。
1856(安政3)年8月、寅次郎(伊勢谷友介)の幽囚室には、久坂玄瑞(東出昌大)、吉田稔麿(瀬戸康史)、松浦亀太郎(内野謙太)、そして玉木彦介((冨田佳輔)が集い、議論を闘わせていいる真っ只中。
そこへ、遠崎の妙円寺の勤皇の僧侶・月性の紹介として、赤禰武人(阿部亮平)が学びたいと訪ねて来て...。
さらには、寺島忠三郎(鈴木伸之)、品川弥二郎(音尾琢真)も...。
幽囚室における学びに、昼も夜も身分も関係なかった。
それぞれが関心のある学びに取り組み、思いのままに意欲的に学ぶ熱気に包まれており...。
ただ、文(井上真央)としては、銭の入り具合が気がかりだった。
ささやかな賄いを出せても、それを補う銭がなければ、長く続かないのでは、と。
夜遅く、寅次郎と二人きりになった玄瑞は、日本を守れる男になれるかと尋ねてみた。
寅次郎は伝えた。
「それは君の志次第です。 君は何を目指しますか?」
一方、寅次郎が暴れ牛として時折気に掛ける高杉晋作(高良健吾)は、明倫館で退屈そうに過ごす日々。
それをしばしば見かけることとなった伊之助(大沢たかお)は、ペリーの船に乗り込もうとした男が塾を開いていると、晋作に伝えて...。
晋作は敏感に感じ取ったものの、素っ気ないまま。
その日の講義の終わって、晋作は足の向くまま村の境内の勧進相撲へ。
偶然居合わせることとなった、文の弟・敏三郎(森永悠希)と彦介と観戦することとなり、土俵で向かい合うは指月丸と大笠山。
激しい対戦の末共倒れするかのように見えたものの、軍配は大笠山。
観衆からの戸惑う声の漏れる中、敏三郎も釈然としない思いらしく、声を上げたくても吃音ゆえあげられず。
それを察した晋作は行司を挑発。 その言動に観衆も力士も困惑する中、やがて非難へと変化、晋作が大笠山との勝負を買って出ることに。
大笠山は相撲の厳しさを教えてやると言わんばかりの姿勢で勝負に出たところ、何と晋作から塩の詰め込まれた手桶状の枡を顔面に投げつけられて...。
逆上した大笠山は晋作目がけて突進、晋作は待ってましたとばかりに跳び蹴りで大笠山を横転させた。
観衆からの激しい非難の中、土俵脇に控えていた力士たちは激昂して、晋作目がけて暴走、境内は大混乱に。
晋作は素早く敏三郎の手を引いて逃げ出したため、彦介は置いてけぼりを喰ったかのようで、ますます混乱。
ただ、その混乱の勢いに倒された中の一人で、伊藤利助(劇団ひとり)は痛みで顔を歪めながらも、なぜか晋作が気になって...。
その日の夜の杉家では、文は教えを受ける者から費用を受け取る必要を寅次郎に進言するが、寅次郎は自身も教えを受ける立場であることを理由に受け取らない心積もり。
二人の気持ちの平行線のまま、敏三郎が帰宅。 そして、後ろから現れたのは晋作だった。
晋作は寅次郎と対面、伊之助の勧めでここに来たことと、罪人の塾とやらを御手並み拝見したいと伝えて...。
文は理想と情熱をあきらめたと思われたかのような伊之助だけに、陰ながらの心遣いが嬉しかった。
明くる日から晋作も幽囚室に出向いたものの、相変わらず退屈そうに斜めに構えて眺めるだけ。
この時は亀太郎と弥二郎が、日米和親条約に伴う海外との交易をめぐって議論を深めていて。
交易で我が国の物が売れれば安泰になるのではと口にする亀太郎に、玄瑞が機敏に反応。 我が国の入用の物が不足し、不平等条約ゆえの物価高騰で我が国は混乱を深めるだけ。それゆえに異国を追い払うべきであるとこを声高に主張。
そこへ晋作が横槍。 百姓と魚屋が話をしただけでは、何も変わらないと。
その他人事のような物言いに玄瑞が噛み付くのを見かねた寅次郎は、晋作に尋ねた。
「君ならどうしますか?」
異国を追い払えばいいとする晋作を畳み掛けるかのように、寅次郎は異国の物が出回り始めている以上、やみくもに撤去すること自体無理なことと駄目押しするだけ。
寅次郎は話を変えて、晋作に何が得意で何を志すかを尋ねると、今は詩吟と三味線さえできればいいと口にすると、寅次郎に促されるまま、晋作は詩吟と三味線を披露。
ところが、寅次郎は素っ気なかった。 心の伴っている玄瑞の詩吟が遥かに優れている、と。
内心憤然とした思いの晋作を察した文は、大組士の家格で藩主・毛利敬親(北大路欣也)の養子・元徳の奥番頭・高杉小忠太(北見敏之)の嫡男であることへの敬意を見せ、晋作から何気に末の妹のいることを聞くなり、手作りの饅頭を持って挨拶に行きたい旨を伝えた。
晋作は笑顔のまま用事を理由に文に別れを告げて幽囚室を後にしたが、勉学も遊びも遥かに上と自負してきただけに、一人やり場のない怒りにかられるだけだった。
晋作と入れ替わるかのように、小浜藩出身の儒学者・梅田雲浜(きたろう)が訪ねてきた。
1843(天保14)年より京にて藩の塾である望楠軒の講師として長きにわたって尽くすものの、1852(嘉永5)年に藩主・酒井忠義に建言したのが怒りに触れて藩籍を剥奪された身の上、1853(嘉永6)年の黒船来航以来の寅次郎の一連の知行一致に感服の旨を伝えた。
祖母の形見の簪を売って貧乏徳利の酒でもてなした母・滝(檀ふみ)の心遣いを知った文は、何も言えないまま。
というのも、家族のほぼ全員で、大根で嵩上げした御粥でしのぐ日々が、長く続いていて...。
梅田雲浜が、後に条約反対と異人排斥による攘夷運動を訴えて尊皇攘夷を求める志士たちの先鋒となることを、まだ誰も知らない。
ほぼ同じ頃、椋梨邸では、藤太と伊之助が反射炉の建造に関して打ち合わせ。
目処がつき一息ついて間もなく、藤太から寅次郎に関して何気に伊之助を詰問。 塾を開いたとはいえ、罪人の身であることと不穏な動きを見せることに変わりのない以上、目を光らせなければ意味をなさない、と。
伊之助は野山獄の獄囚の赦免の旨のしたためた書状を出せず、苦い思いのままだった。
明くる日、文は手作りの饅頭を持って、高杉家へ。
晋作の妹の武、栄、光に饅頭を差し入れて、ほのぼのとした雰囲気になるも、すぐに察した小忠太から、二度と関わらないでほしいと静かに追い払われてしまった。
仕方なく戻るしかなかった文はやりきれないままだったが、寅次郎はなぜか呑気に晋作を心待ちのままだった。
加えて、敏三郎が夜に外へ出ることの多くなったと聞いた文は、心配を募らせて後を追うことに。
たどり着いた先は、何と色街だった。
晋作が連れ込んだことを知った文は、一瞬の隙をついて止めに入り、敏三郎の頬を張り、晋作に強く抗議。
しかし晋作からは、弟のことを本当に考えているのかと、逆に言い返されるだけだった。
晋作が言うには、敏三郎自ら強くなって家族と国を守れる人間になるために剣術の腕を上げたいと、頼まれたという。
そして、姉に守られているだけの弟でいることが、息苦しくなってきたということ。 さらに、弟自ら手掛けた写本で銭を稼いで家族を支えたいということを打ち明けられた文は、心が揺さぶられ、なじみとされる茶屋の押し入れの襖を開けると、洋楽の書物の書き写しの山を目の当たりにして、返す言葉がなかった。
文が一緒に帰ろうと敏三郎の手を引くと、逆に振り払われてしまって...。
姉離れしたい自我なのかわがままなのか、といった敏三郎の言葉にならない剥き出しな感情を目の当たりにして、文は泣きじゃくりながら帰ってしまった。
その夜、晋作は父・小忠太に寅次郎の下で学びたい気持ちを明言。
当然のごとく小忠太は猛反対だったが、晋作の決意は揺るがなかった。
夜が明けて、敏三郎が帰ってきた。
写本が売れた御礼として練切を与える敏三郎に、文は巣立ちへの第一歩の嬉しさと姉の手を離れる寂しさのないまぜになった複雑な気持ちながらも、笑顔で出迎えて...。
そこへ突然、玄瑞が駆け込んできて、晋作を出せと言わんばかりに、勢いよく幽囚室へ。
泣きじゃくりながら走って帰る文とぶつかったことで、晋作に何かされたと激しく思い込んでおり...。
玄瑞の殺気立った勢いを実感した晋作は、玄瑞の前に出て小競り合いに。
しかし、文と敏三郎は高見の見物でもするかのように、仲良く練切を分けて美味しく口にするだけ。
そこを止めに入ったのは、この日に学び始めたばかりの伊藤利助。
この人懐っこい笑顔で風采の上がらなそうな小柄な男こそ、後に初代内閣総理大臣・伊藤博文として大出世することになるとは、誰も知る由もなかった。
弟・敏三郎の自我の目覚めと巣立ちへの第一歩。 涙があふれそうな展開が...。
その象徴としての"練切"...。
ドラマでは、貧しくもささやかながらの稼ぎから買うこととなった贈りものでも、現代に置き換えれば、羊羹と練切餡で作られる伝統を重視の「引き菓子」、すなわち『彩花苑』の【引き菓子 寿セット】、【引き菓子 薯蕷セット】、【引き菓子 ご入学セット】 に匹敵する美味しさだったのかもしれないや。
森永悠希が演じた文の弟・敏三郎の成長する姿、2007(平成19)年5月下旬より公開された映画『しゃべれども しゃべれども』で、国分太一(TOKIO)演じる主人公・今昔亭三つ葉(外山達也)の「話し方教室」を受講する関西から転校してきたイジメられっ子の小学生・村林優に近いかなあ。
中でも、彼自身の成長とともに上方落語「まんじゅうこわい」を発表会で披露できるようになった時、枝雀師匠が乗り移ったかのような巧さで、最後までほっこりさせられてしまった。
結果として、第3回おおさかシネマフェスティバル・新人賞を受賞することに。
いずれにせよ、これからの森永悠希は、村林優と杉敏三郎とともに着実に成長するかのような予感が...。
2015-01-08 |
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