西原理恵子 毎日かあさん 日常 家族 12巻まで
本当に、ありとあらゆる波瀾万丈と紆余曲折が...。
改めて振り返ってみれば、これまでの自身の子育ての日々を厳しく綴ったエッセイ風コミックながらも、大笑いさせられ、そして大いに涙腺を刺激されるシリーズだった。
さかのぼること、2002(平成14)年10月からの毎日新聞朝刊の週1回連載より...。
毎回いつもいつも心を騒がせてくれてくれて久しく...。
実際の西原家のエピソードをもとにし、主婦の日常生活や子育てなどを描いているとあって、あらゆる世代においては、本当にあらゆる意味で目の離せない展開に...。
やがて、2004(平成16)年3月20日日曜日、『毎日かあさん カニ母編』[毎日新聞社(以降同じく)]が発売。
飲んだくれのとうさんに三行半をつきつけ、幼い息子と娘のシングル・マザーとして生きる道を選んだかあさんの孤軍奮闘ぶりが...。
女手ひとつの子育てに翻弄され、毎日毎日画の締め切りに追われて部屋にこもって苦闘している中にあっても、背後から聞こえる"こそこそと小さな話し声"による"母としての幸せ"の実感、微笑ましい感動が...。
その荒削りながらも心に浸透する展開が好評となって、翌年2005(平成17)年5月10日火曜日、第9回手塚治虫文化賞(短編賞)を受賞するまでに。
2005(平成17)年3月26日土曜日発売の『毎日かあさん2 お入学編』では、小学校入学の息子を見守るかあさん、息子と娘という兄妹の成長の対比、繊細に描かれていて...。
息子ネタの方が、行動としてはスケールがでかいので本編では一見目立つものの...。
失礼ながら、女の子は幼少から嘘泣きの策略家になりつつあるということ???
2006(平成18)年4月27日木曜日発売の『毎日かあさん3 背脂編』では、タイトル(「背脂編」)の通り、天才サイバラの脂(あぶら)が乗り切っていて...。
ただ、「女子高生のころは、たしかにいたのに、お母さんになると 親友がいなくなるのはなんでだろう。」の言葉には、心に棘が...。
大人への成長と裏腹に、純真無垢のままではいられない、といった寂しさに...。
特に、最後の「父の名前」でグッときてしまって...。
2007(平成21)年7月20日金曜日発売の『毎日かあさん4 出戻り編』では、第1巻で別れた夫・とうさんが帰って来て...。
4人家族に戻った一家の新たなる波乱が...。
ここでのかあさんは、女性としての顔がより多く際立っていたかなあ。
、
「お金がないのは首がないのと同じ」という、かねてからの"西原節"を証明したかのような展開が....。
2008(平成20)年12月13日土曜日発売の『毎日かあさん5 黒潮家族編』では、とうさんの死までが描かれることに...。
息子も娘も少しずつ成長、かあさんと意見をビシバシ言い合う年頃に...。
特に、「子供の質問」での、ゴハンを口に押し込みつつ、娘が「ウソつきはドロボーのはじまりって言うけど、お母さんけっこうウソつくよね」と言うと、息子が「お母さんのウソは仕事なの。半分に聞くの」と諭す場面。
いわゆる"ウソ"を主体とする仕事、内心薄氷を踏む思いといったところ...。
2010(平成20)年2月26日金曜日発売の『毎日かあさん6 うろうろドサ編』では、思春期に差し掛かった子どもたちの悲喜劇が...。
思春期を扱った漫画の少ない中での貴重とも言える作品。
本格的にお金もかかるし、踏み間違えれば子どももグレることをあり得るし、大変なのはこれからという気に...。
2011(平成23)年1月19日水曜日発売の『毎日かあさん7 ぐるぐるマニ車編』では、小学校卒業を控えた息子の地元の私立中学受験をめぐる問題と反抗期の前触れが...。
反抗期中学生の息子と、女街道を突っ走る娘を、落っことさないようにしっかり手を繋ぐ毎日かあさんの姿には、泣き笑い。
しかし、3人まとめて飛行機乗り遅れて、空港内で迷子には笑えた。
そして、笑いで世界がナントカなりますように! といった想いのあふれるネパール取材の傑作描き下ろし「神を見に行く」、忘れられない。
2011(平成23)年8月27日土曜日発売の『毎日かあさん8 いがいが反抗期編』では、中学生の息子が反抗期の突入と、台湾へ出発する空港での息子の起こした騒動が...。
一番ウケた台詞は、娘の「こんな絶望的な色のぱんつはかなきゃだめなの?」
西原家と、家族を持つすべての人、そして孤独な人にも、どうか幸あれ! と叫ばずにはいられない気持ちに...。
2012(平成24)年12月19日水曜日発売の『毎日かあさん9 育っちまった編』では、とうさんが亡くなってから5年目の日々が中心...。
背がかあさんを越えて、少し大人になった息子と娘が...。
そして、気持ちの整理のついたかあさんの揺れる心が...。
日常生活の中に、とうさんの想い出が時折脳裏に浮かんでくる時の、それぞれの表情には、不覚にも涙が...。
2013(平成25)年10月11日金曜日発売の『毎日かあさん10 わんこギャル編』では、新聞連載で描けなかった、犬の"ぽん美"さんが西原家の一員になるまでの心温まる物語が...。
同時に、「かわいそう」なんて生半可な気持ちだけでは、保護犬は引き取れないという現実も...。
虐待されて心に傷を負うと、犬も子どもも、回復するまでとても時間がかかるもの。
子どもはいつか自立して手が離れてしまう反面、犬は一生小さな子どものまま???
それらを含めての、子どもたちと犬が一緒にいる素晴らしさを伝えてくれたことに感動...。
2014(平成26)年10月7日火曜日発売の『毎日かあさん11 息子国外逃亡編』...。
息子の突然「オレ、留学するわ」宣言で、留学試験合格を目指し、猛勉強を始めたものの、ハードルはあまりに高さと、戸惑いつつ応援する一家の人間模様。 どこの過程でもありがちな光景そのもので...。
一連の大騒動には、不覚にも笑ってしまった。
そして、11月11日水曜日、『毎日かあさん12 母娘(ははこ)つんつか編』が発売...。
かあさん同様芸術に関心のある中3の娘の自己主張のキツさゆえに、反抗期がこじれてしまったか、かあさんと娘の戦争勃発へ...。
やがて、映画や本の大好きな娘だけあって、かなりの倍率でオーディションを勝ち抜き舞台に立っている晴れ姿が...。
特に、「お母さん、ツイッターとかしてるひまがあったら本の一冊でも読みなさいよ。せめて毎年の芥川賞直木賞くらい読むべきじゃない。私は読んでるわよ。」と突っ込む娘の成長ぶり、なんかもういろんな意味で感慨深かった。
すべてに目を通した余韻に浸る中で...。
いわゆる一家族を中心とした"大河ドラマ"なのかなあ。
たとえ、それとまでには至らなかったにしても、早々よりの波瀾万丈と紆余曲折を経て、歳月に伴う息子と娘の成長、かあさんの落ち着きに至るまでの流れは、荒削りながらも、心に浸透するもので...。
かねてからの「男女共同参画社会」への確立の叫ばれて久しく、仕事と家事への奮闘の日々が、当たり前になりつつある今日この頃のこと...。
「女の人生」の一端を学ぶのに、ふさわしいかな。
就寝前でもいいから、枕元に置いてでも、読み返してみようっと。
2015-11-25 |
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