忘却探偵 小説 感想 遺言書 退職願
かの日本テレビ土曜ドラマ『掟上今日子の備忘録』の放送中と並行して読み続けて、時折振り返ることもありつつも、読み終えることになったのは、本放送終了となった12月12日土曜日から数日を経た、つい先日のこと。
それは2作品あって、いわゆる原作の延長線上にあたる西尾維新の『忘却探偵シリーズ』(講談社)の第4弾と第5弾...。
すなわち、本放送における、続編への期待を抱かさせてしまいそうな内容、といったところかもしれないや。
10月6日火曜日発売の第4弾『掟上今日子の遺言書』では、過去の第3弾までと違って、珍しくも全1話としての構成に...。
軸となるのは、中学生がビルから飛び降りた自殺未遂事件。
現場に居合わせてしまった、かの「史上最も運が悪い男」と自虐する青年・隠館厄介ならではの生来の冤罪体質が災いし、容疑者とされてしまったことで、かの忘却探偵こと掟上今日子が厄介の疑いを晴らすべく行動する物語が...。
これまで同様の、今日子自身の推理のため、いろんなものを切り捨てたような行動力には、爽快感を満たさせてくれて...。
しかしながら、ほとんど傍若無人というべき捜査ぶりが際立ってしまった反動からなのか、今回はちょっとしたペナルティを負うという、ほろ苦い展開に...。
さすがに、現実を直視させることになったことには、深く考えさせられてしまった。
それを紛らわすかのように、20代半ばの女性が中学校のセーラー服を着こなす姿には、自然と想像を掻き立てられる点で、つい癒やされてしまった。
読者としては、思わずニヤリとさせられてしまうくらいに...。
12月17日木曜日発売の第5弾『掟上今日子の退職願』では、全4話すべてで異なる女性が語り部になっていて...。
すなわち、彼女たちそれぞれの内面を通じて、時には比べ、直接問い掛け、"外側"から今日子を映し出すという構成に...。
ただ、失礼ながら、厄介のいないのが、少々寂しかったかな?
それでも、荒唐無稽感の相変わらずながらも、1,2話の言葉遊びのような逆転の発想は面白かった。
そして、語り部らが教訓めいたことを語り、それらと今日子を重ねるやり取りも印象的に...。
加えて、題名の『退職願』...。 探偵を辞めたくなるほどの嫌でつらいことも、次の日には忘れてしまう。
語弊大ありだけど、この良い意味での"鈍感力"が、好きな仕事を継続させる秘訣なのかもしれないや。
ほかの仕事でも、いや当初こそ望まなかった仕事でも、そうなんだろうなあ。
とにかく、第4弾も第5弾も、初めての読者でも入り込みやすい、という点で、ありがたかった。
この『忘却探偵シリーズ』、まだまだ続くんだろうなあ。
2015-12-22 |
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