寺尾聰 仰げば尊し 元サックス奏者 先生 吹奏楽
これは見逃がせないや。
久々の主演か...。
TBS日曜劇場では『きらめく季節の中で』以来、約28年ぶり。
連続ドラマでは、2005(平成17)年1月13日木曜日から3月24日木曜日まで全11話放送の倉本聰脚本のフジテレビ金曜劇場『優しい時間』以来、約11年3ヶ月ぶり。
かの作品は、2009(平成21)年2月23日月曜日発売の『ブラバンキッズ・ラプソディー 野庭高校吹奏楽部と中澤忠雄の挑戦』(石川たか子/三五館)と、同年4月22日水曜日発売の『ブラバンキッズ・オデッセイ 野庭サウンドの伝説と永遠のきずな』を原作に、1980年代に神奈川県立野庭高校を全国有数の吹奏楽の名門校に育て上げた中澤忠雄先生をモチーフにしたヒューマンドラマ。
すなわち、TBS日曜劇場『仰げば尊し』が、7月17日日曜日より放送開始。
しかも、あの二子玉川学園高校野球部顧問の熱血教師・川藤幸一(佐藤隆太)と野球部の問題児たちが甲子園を目指す2008(平成20)年4月19日土曜日から7月26日土曜日までの全11話放送のTBS土曜8時枠の連続ドラマ第1弾としての人気学園ドラマ『ROOKIES』の脚本家・いずみ吉紘と演出陣が再集結するとのこと。
『ROOKIES』の吹奏学部版か...。
寺尾聰演じるは、元サックス奏者・樋熊迎一。
事故の後遺症以来、音楽から背を向けていたものの、校長(石坂浩ニ)からの招きで荒廃した高校に赴任することに...。
当然のごとく、夢を失っていた問題児たちを相手の吹奏楽指導は困難を極め、プロミュージシャンが教育現場へ足を踏み入れることに反対する教師や父兄との関わりにも翻弄...。
それでも再び夢を見い出し、真っ正面から生徒と向き合い、満身創痍で吹奏楽指導に励む樋熊の姿は、戸惑いありながらも少しずつ生徒たちに浸透。 やがて、樋熊の情熱に報いようと、渾身の力で吹奏楽に向き合わせることになっていくらしく...。
一人では決して叶えることのできない"感謝"と"深い絆"、と言えば...。
やはり、あの1993(平成5)年4月中旬より公開の黒澤明監督・脚本の遺作映画『まあだだよ』で、随筆家となった元法政大学ドイツ語教諭の主人公・内田百閒(松村達雄)と心を通わせる門下生の一人・沢村との穏やかなひとときが...。
先生の猫への深い愛情や現代では失われてしまった師弟愛にまつわるエピソード、佳境に入ってからの「仰げば尊し」、忘れられない。
そして、あの『優しい時間』...。
あの1981(昭和56)年10月9日金曜日より連続ドラマとしての放送開始以来の大好評の後押しあって、8編に及ぶドラマスペシャルによる『北の国から』シリーズ終了から約3年4ヶ月後に、同じ"金曜劇場"枠での放送...。
北海道・富良野の喫茶店「森の時計」のマスター・湧井勇吉と、事情あって絶縁久しく、美瑛の窯場「皆空窯」で陶芸職人として見習い修行中の息子・拓郎(二宮和也)との心の再生...。
まさに題名のごとく、回を追うことに少しずつ癒やされてゆく、温かみが...。
というのも、かの『北の国から』シリーズで培われた倉本聰脚本特有の"行間"を実に上手く汲んだ演出、それを美しく語る渡辺俊幸の音楽の絶品さが、まさに心地良くて...。
この度の寺尾聰としては、この2作品での役どころが重なるかのよう...。
これまでをあえて振り返ってみると...。
1947(昭和22)年5月18日生まれの、神奈川県横浜市保土ケ谷区出身。
今ではすっかり演技派俳優の重鎮としての顔が定着しているものの、少年期には洋楽に憧れ、エレキギターを入手しては独学で練習し、高校時代におけるバンド活動が度を越してか、失礼ながら、停学や退学を繰り返す問題児だったなんて...。
あまりにも意外過ぎると実感している人は、案外多いかもしれないや。
その当時影響を受けたミュージシャンの一人にリッキー・ネルソンを挙げる一方、1964(昭和39)年に奥島吉雄らとカレッジ・フォーク・グループ"ザ・サベージ"を結成し、ベースギターを担当。
当時新興の芸能事務所・ホリプロダクションに所属し、1966(昭和41)年に「いつまでもいつまでも」でレコードデビュー。 大ヒットするも、すぐにグループを脱退。
1968(昭和43)年、三保敬太郎を中心とするグループ・サウンズ"ザ・ホワイト・キックス"に参加、シングルを1枚出して解散。
同年、石原裕次郎製作・主演の映画『黒部の太陽』で俳優デビュー。
これを機に、父親で名優・宇野重吉主宰の劇団民藝に一研修生としての入団を希望するも、宇野本人から「たとえ研修生扱いでもマスコミは『親の七光り』として見るだろう」という理由で、当時より懇意だった石原裕次郎を紹介され、石原プロモーション入り。
いわゆる"石原軍団"の若手有望株として、おもにテレビドラマに出演、青春ものドラマなどで二枚目半的な役どころを演じ...。
中でも、石原プロモーション制作の刑事ドラマで注目。
1976(昭和51)年1月6日火曜日から8月3日火曜日まで全31話放送の日本テレビ系列"毎週火曜日21時枠"の『大都会 闘いの日々』では、東洋新聞社会部記者・城西警察署記者クラブのキャップの"バクさん"こと滝川竜太(石原裕次郎)の片腕かつバクチ仲間の若手記者・日高明。
2年2ヶ月後の1978(昭和53)年10月3日火曜日から1979(昭和54)年9月11日火曜日までの同枠全49話放送の『大都会 PARTIII』では、城西署捜査課部長刑事かつ"黒岩軍団"総帥・黒岩頼介(渡哲也)の良き片腕。 メカや重火器の知識に長け、狙撃の名手。 普段は比較的物静かで常識的な言動の反面、卑劣な犯罪者に対しては拷問まがいの暴力捜査も辞さない44マグナム撃ちまくりのジローこと牧野次郎。
そして、あの1979(昭和54)年10月14日日曜日から1982(昭和57)年4月18日日曜日まで全126話放送のテレビ朝日の人気刑事アクションドラマ『西部警察』では、西部警察署捜査課部長刑事かつ"大門軍団"団長・大門圭介(渡哲也)の良き片腕。 『大都会 PARTIII』のジローのキャラがそのまま移行した、リキこと松田猛。
特に刑事役では、レイバン・ウィナーのサングラスをかけ、ニヒルな表情がトレードマーク。
並行して、ソロ歌手としてのデビューは、1970(昭和45)年の「ママに内緒の子守唄」。
以後もシングル発売は続いて、1981(昭和56)年2月上旬、いよいよあの6枚目のシングルでヨコハマタイヤCM曲「ルビーの指環」の大ヒット。
テレビの歌謡番組にも出演し、特にTBS人気歌謡番組『ザ・ベストテン』では、『西部警察』との相乗効果あって人気上昇し、12週連続1位の栄誉を讃えた真紅の記念シートも設置。
しかも、1980(昭和55)年8月上旬発売の4枚目のシングル「SHADOW CITY」と同年10月下旬発売の5枚目のシングル「出航 SASURAI」も、ベストテン入りするという快挙。
かの3曲含む全曲を自らが作曲したアルバム『Reflections』は、当時のアルバムセールスを更新する164万枚の売り上げ。 井上陽水の『氷の世界』の売り上げ記録を8年ぶりに更新し、以後1990(平成2)年に松任谷由実『天国のドア』に破られるまでの空前の大ヒットとなり、本格的に音楽活動を再開するまでに。
結果として、第23回日本レコード大賞・FNS歌謡祭'81グランプリを受賞し、大晦日には第32回NHK紅白歌合戦初出場。
やはり、石原裕次郎と宇野重吉の昵懇の仲は、もちろんのこと、父親として俳優として劇団主宰者としての宇野重吉の背中は大きかったんだろうなあ。
俳優活動の継続に伴い、石原プロが得意とする刑事が活躍のアクションドラマから、人間の内面を演じる文芸作品に移したいとの考えの強まりにより、石原プロを離脱して黒澤明監督に師事するようになって...。
あの黒澤監督曰く「人類への遺言」として製作した最後の時代劇、1985(昭和60)年公開の日本・フランス合作映画『乱』へ...。
そして、1990(平成2)年公開の日本・アメリカ合作映画『夢』での"私"。
さらに、あの『まあだだよ』へ...。
2001(平成13)年には、黒澤監督の遺稿を映画化した小泉堯史監督の 『雨あがる』に主演、事情あって浪人となった三沢伊兵衛の剣豪ぶりと私心のなさで魅せ、日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞。
2005(平成17)年公開の横山秀夫原作・ 佐々部清監督脚本の映画『半落ち』では、元県警警部・梶聡一郎の優しさと葛藤で魅せ、同賞の2度目の受賞。
本当に幅が広がった。
2008(平成20)年4月、春の褒章伝達者発表において、紫綬褒章を受章。
父・宇野重吉もかつて紫綬褒章受章とあって、父子2代での受章に。
この度の、"音楽は心で奏でるものだ"という大切な想いの描かれたヒューマンドラマ、待ちきれなくなってきた。
日本レコード大賞並びに日本アカデミー賞最優秀主演男優賞の両方を獲得しているのは、2015(平成27)年時点で寺尾聰のみか...。
寺尾聰が吹奏学部の先生...。
この度のドラマで演じる生徒役、素顔としては寺尾聰のこれまでをどれだけ知っているのかを、想像しながら鑑賞する楽しみが...。
2016-06-01 |
共通テーマ:日記・雑感 |
nice!(0) |
コメント(0) |
トラックバック(0) |
編集
コメント 0