野心のすすめ 感想
先月4月18日木曜日に発売されて以来、秘かに脚光を浴びているということかなあ。
『野心のすすめ』(林真理子/講談社現代新書)
よく考えてみれば、1990年代初頭のバブル崩壊以降、やや低めの生活水準における安定を求める人々の増加しつつあるご時世で、国全体の活力の乏しくなってしまったことへの警鐘なのだろうか?
「やってしまったことの後悔は日々小さくなるが、やらなかったことの後悔は日々大きくなる」がモットーか。
中学時代はイジメられっ子、そのあとは長いこと怠け者。
ところが、ふとしたことから、
「有名になりたい」
「作家になりたい」
「結婚したい」
「子どもが欲しい」
といった強い野心を持つまでに。
世の多くの女性たちにすれば、すぐ憧れてしまうだろうし、すぐ購入したくなるんだろうなあ。
端から見ればごく普通の女性でも、野心さえ持てば、大きく飛躍する可能性がある、という実感のほしいもの。
男女同権が叫ばれ、男女雇用機会均等法が施行されて久しく、男性も女性も互いに切磋琢磨し合いながら、ことを進める世の中が定着しつつあるも、目に見えないところでの女性に対しての不利な状況は、根強く残っているんだろうなあ。
ただ、
すべてに目を通してみると、初版発売当時は1980年代初頭。
かの1980年代のバブル期における特有の華やかさ、いわゆる美人な女性はモテる、女子アナはモテる、キャビンナテンダントはモテる、といった尺度のまま、新書として発売するのは、いかがなものかという気がした。
結局はただ自慢話がしたいだけ、と感じてしまいたくなるかもしれない。
自己啓発にふさわしい客観的な分析、という視点としては不足かなあ。
ただ明確なのは、強欲と言われようが、自己実現をすることによる上昇志向が、人間の生き抜く力の源となるということ。
混沌とした将来を生き抜くために、
実際に手にして読んでみるにあたっては、
まず批判的にとらえてから、現代にふさわしい自己流の解釈を加えた上で、自己実現をしてゆく方法を考えて実行する。
それが、ゆくゆくは周囲の人たちに対して、いかなる好影響をもたらすことになるのかを、見越した上での実行を第一とする。
それが大切なんだろうなあ。
林真理子氏自身も、かなりの勇気ある出版だったろうなあ。
初版をそのまま新書とするなんて。
2013-05-20 |
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