綾野剛 星野源 対比 感動 コウノドリ
この年10月16日金曜日から12月18日金曜日まで放送のTBS金曜ドラマ『コウノドリ』が終わって...。
綾野剛と星野源が、未だに気になってしまう。
失礼ながら、芳しいとまでは言い切れない平均視聴率であるものの、いまだにあの静かなる笑いと涙にあふれる感動でいっぱいのまま...。
全10話放送中、平均視聴率は11.46%。
ただ、悲しいかな、1桁の視聴率は...。
母親(石田ひかり)の妊娠中にかかった風疹の影響で白内障を患い目が不自由の上、心臓疾患も抱えるピアノ大好きな笑顔のかわいいい少女(山田望叶)ほか、喫煙妊婦(山田真歩)の子宮から胎盤が剥がれてしまう“胎盤早期剥離”を描いた、10月30日金曜日放送の第3話の8.9%。
妊娠21週1日の妊婦(河井青葉)の破水と切迫流産危機を描いた、11月6日金曜日放送の第4話の9.4%。
その2話以外は2桁で、最高視聴率となったのは...。
順調に37週を迎えながらも、お腹の赤ちゃんが動くたびに苦しいと吐露する妊婦(中村ゆり)と、初めての妊娠で幸せいっぱいほどなく、お腹の赤ちゃんが口唇口蓋裂であることを告げられた妊婦(谷村美月)の、それぞれの揺れる気持ちを描いた、12月4日金曜日放送の第8話の12.6%。
そして、先天性の疾患を持って生まれた我が子を受け入れられない母親(奥貫薫)と、妊娠中の自動車事故の巻き添えによる死亡と引き換えに誕生することとなった我が子の懸命に育てるシングルファザー(小栗旬)の、それぞれの苦悩を描いた最終話・第10話は12.3%。
やはり、他局との競合の激しさゆえに高視聴率獲得の難しい時間帯とあって、より質の高いドラマ制作を重視し実績を積み上げた結果ゆえの感動作となったからかなあ。
その要となるのは、これまで放送された医療ドラマと一線を画した、お産の現場にスポットを当てている"実録ドラマ(?)"としての描写。
全体を通して、こんなに出産ってリスクが高いのかと驚かされることの連続。
すべての命が望んで生まれてくるわけでもなく、また整った環境に生まれてくるわけでもない。
細胞分裂を繰り返して形作られる赤ちゃんは、悲しい場合は、幾度となく繰り返される分裂の中で異常が発生して、障害を持って生まれてくることもあり得るし...。
なんの問題もなく、無事に生まれることが普通だと思われ、何か問題があると責められてしまう産婦人科の医師や看護婦、助産婦の方たちは、本当に大変なところで働いているんだなと感心したし、誰もがももっとお産という大きな出来事を大切にしなければならないのではないか、といった想いでいっぱいに...。
それらを身をもって魅せてくれたのが、ペルソナ総合医療センター周産期母子医療センター・産婦人科勤務の主人公・鴻鳥サクラを演じる綾野剛と、同僚の四宮春樹を演じる星野源、それぞれの対比かなあ。
サクラは、温厚な性格で患者に温かく寄り添い、冷静な判断力を持つ一方、可能である限り患者の希望を第一に優先してくれて...。
晴樹は、研修医時代から5年前までは笑顔で患者や同僚に接していたものの、ある出産を契機に患者に好かれるよりも嫌われても患者を救うことを重視する無表情かつ冷血漢であるかのよう?
毎回観る度に、歩みよりはあるのか、といった想いにかられてしまうものの、"生きる"ということへの想いは同じであることが、静かに伝わってきて...。
最後の最後で一致団結するのか、良い意味での平行線のままなのか、目が離せなかった。
連続テレビドラマ単独初主演の綾野剛も、良い意味での対比を際立たせた星野源も、今までの役どころにない新境地を開いた、という点で、興味深い作品でもあったと言っても過言じゃないや。
ただ、少々釈然としないことがあるとするならば、膨大な漫画原作なだけに、ほかの連続ドラマ同様、最低全10話前後による約3ヶ月間前後の放送がほぼ定着した弊害(?)からか、最終回はやや駆け足になってしまって...。
やはり1990年代初頭以来の長期化する不況あって、民放におけるスポンサー収入減少とともに、ドラマ制作の難しさが、未だに続いているということなんだよなあ。
しかしながら、それだからこそ皮肉にも、質の高い制作を手掛けたドラマが、末永く多くの人たちの心に浸透することになるから、ジレンマいっぱいに...。
以上のことあって、贅沢を口にすれば、続編となる連続ドラマか2時間以上のスペシャルドラマを、期待したいくらい...。
ほぼ1話完結方式で、問題定義もしながら、深い人間ドラマを見せてくれたことで、今クールのドラマの中で一番感動させられた素晴らしい仕上がりだっただけに...。
DVD/Blu-rayの発売は、2016(平成28)年3月25日金曜日。
赤ちゃんが無事に生まれてくれて、母子ともに健康であるということは、なんと奇蹟的で素晴らしいことなんだろう。
誕生のたびに、そう実感させてくれて、本当に嬉しかった。
2015-12-20 |
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