綾瀬はるか 時代 先取り わたしを離さないで
として、時折ながらも、末永く語り継がれることになるんだろうなあ。
あまりにもテーマが重すぎるだけに...。
この年2016(平成28)年1月15日金曜日から3月18日金曜日までの全11話放送のTBS金曜ドラマ『わたしを離さないで』...。
2005(平成17)年発表のカズオ・イシグロによる長編小説で、同年のブッカー賞最終候補作。 しかも、日本初かつ世界初の連続テレビドラマ化作品...。
舞台は、1990年代末のイギリスから近未来の日本。 主人公の介護人は、キャシーから恭子。 世間から隔離された施設は、ヘールシャムから陽光学苑。
物語は、恭子が過去に遡って語るモノローグ(=信頼できない語り手)によって進行...。
第1話から第3話を「第1章:陽光学苑編」、第4話から第6話を「第2章:コテージ編」、第7話以降を「最終章:希望編」として...。
陽光学苑で「良質な」教育を与えられ育てられてきた、保科恭子[綾瀬はるか(幼少期:鈴木梨央)]と土井友彦[三浦春馬(幼少期:中川翼)]と酒井美和[水川あさみ(幼少期:瑞城さくら)]は、子どもらしい生活、子どもらしい教育を享受し、「普通の子ども」であったはずのある日のこと、生まれながらにある使命を与えられた「特別な子供」であると教えられ、自分たちの「本当の運命」を知らされることに…。
やがて3人は、"ブラウン"というコテージで共同生活。 悲しいかな、3人の関係は次第にこじれていくことになって...。
運命に抗うのか? 従うのか? 人を愛することで希望を得ようとする3人は、「生きる意味」を模索していくことになって...。
それぞれの限られた時間を精一杯生きるありさまが...。
「特別な子供」の生まれながらにある使命とは、「提供」。 すなわち、臓器移植のためにクローンを作り出し、必要となれば普通に生活していた彼らから臓器をもらうこと。
無情にも、彼らの意志は無視されて...。
平均視聴率は6.8%...。
(長文になりますけど...。)
これまでの洋画でクローンを扱った作品ともなれば、どこか絵空事のようだったけど、このドラマは違う。
クローンの存在がもっと日常に接近しており、クローン自身もそれを受け入れてしまっているという物語の展開に...。
ただし、子どもの頃は知らされていない、自分がクローンであることも、そしていずれ自分の臓器を提供しなくてはならない運命にあることも...。
とにかく胸が痛い。 こんな酷い設定ってあるのかよ、といったやり場のない憤りに...。
ただ、臓器移植が可能な現在、臓器売買とか脳死になったら臓器を提供するとか、医療において臓器提供は実際に行われているし、直接人間から取り出したくないならクローンを作ってしまえばいいというところに科学が暴走しないとは限らない。 そのような危険性は孕んでいて...。
たしかに、それで救われる命はある。 あるけれど、それで失われる命も同時にあるかもしれないのも事実。
しっかりと念頭においておかなくてはならないんだよな。
というのも、科学技術の発展とともに倫理が発達するとは限らない。
現に、ネット社会になって便利にはなった反面、そこで新たに作られた人間関係がうまくいっているとは言えないし...。
そこにも、虐めや犯罪の生まれる要因もあって、技術に人間の心理が追いついていないように感じるし...。
原発もしかり。 本当に人間が制御できる範囲の技術なのだろうかといった不安が...。
一度暴発したら、取り返しのつかないことになるのは、あの「3.11」で明らか。
科学技術の進歩にどうやって向き合っていけばいいのか、改めて深く考えさせられた。
何よりも、このドラマでは、あまりに人間側が冷たく描かれている。
クローンへの扱い方も冷たいし、同じ姿形をしているのに、化け物のように手荒に扱う。
そんなものなのだろうか? しかし、そういうことは起こり得るのかもしれない。
ナチスのユダヤ人迫害が示すように、人間は自分が助かれば他人の命を無残に扱っても罪の意識を感じないのかもしれない。
そのような怖さを秘めている作品...。
もしも、何かこのドラマに希望があったとするならば、どんなに過酷な運命でも何か希望を見いだせれば、なんとか生きられるのかもしれないということだろうか...。
「生きていてよかった」と思えることが何か一つでもあれば、生まれたことを感謝できるかもしれない。
いずれにせよ、2016(平成28)年8月26日金曜日に、DVD/Blu-rayは発売。
折りを見て、何度も観る必要にかられるのかもしれないや。
愛情、友情、絶望、希望、それぞれ複雑に絡み合う、時代を先取りした意欲作かつヒューマンラブストーリーとして...。
嬉しいこととなれば、特典映像かなあ。
あの綾瀬はるかと原作者のカズオ・イシグロによる、"奇跡の対談"はもちろん...。
特別試写会での舞台挨拶における、綾瀬はるかと三浦春馬と水川あさみとの微笑ましいやりとりも...。
そして、初回封入特典としての、オリジナルポストカードも...。
2016-05-01 |
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